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33. Car Accident with Moose

クリスマスシーズンも終わり,また静かな冬の日々が始まりました.実家に帰っていた友人達もアパートに戻ってきて,サウナで一緒になり,「クリスマスはどうだった?」という,予定通りの会話で始まったのですが,彼曰く「クリスマスそのものは良かったのだけど,ちょっとね」と,顔が曇りがちです.何かあったのかと聞いてみると,どうやらクリスマスにMikkeriの実家に帰る途中,へらじか(moose)と交通事故にあったとのことでした.毎年,結構な数のムース事故があると話には聞いていましたが,まさかこんな身近な人までが,と複雑な心境でした.時間は3時半頃で,ちょうど薄明の頃です.森から出てきて道路を渡ろうとしていムースに気づいたときはもう遅く,そのままブレーキを踏んで,うつぶせのまま (飛行機の機内に緊急時の姿勢が書いた紙がありますが,あれと同じです) 運を天にまかせるしかなかったそうです.ムースは車を飛び越えようとしたのか,左前面からそのままフロントガラスに激突,さらに右後方の窓ガラスを角で破壊しながら後ろに抜けていったようです.

ムースは非常に大きな動物で,大きいものでは肩の高さが約2m(角まで入れると2m50cmは超えます),全長3mほど,体重300kgもあります.時速80kmの車がほとんどブレーキもかける間もなくそんなものにぶつかったのですから,大変な事故です.自動車は結局廃車になりました.実際,毎年ムースとの事故で何人かが亡くなっているとのことでした.幸いにも,友人家族はみな無事で,運転していた友人が手にかすり傷を負ったくらいで済みました.これは本当に幸運だったと言えると思います.たまたま助手席には生まれて間も無い子供が寝ていて,そこに奥さんが乗っていたら大変なことになっているところでした.後方右には1歳の子供がチャイルドシートに乗っていたのですが,頭のすぐ横5cmのところはムースの角で破壊された跡があったということです.後方の真ん中に座っていた3歳の女の子はフロントガラスを破壊しつつ車を超えていったムースの顔が夢にまで出てくるらしく,当分動物は見たくもないと言っていました.

自然に恵まれているからこそ起り得る事故です.確かに森を抜ける道路には必ずと言ってよいほど,「ムース注意」の標識が出ています.友人曰く 「あまりにあちこちにある標識は全く無いのと同じだ」.我々日本人は,珍しい標識だなあ,と呑気に見ていました.実際,事故車を目の当たりにすると,ちょっと恐ろしくなりました.ほとんど小型の像が突然道路に飛び出してくるようなものですから.日本では考えられないことです.
 
 

Moose: へらじか.大きいものでは全長3mにもなる.
 
 
 
ムースに衝突された自動車
結局,廃車.しかし保険が効く
これで乗っていた人が全員無事だったのは
幸運だったといわざるを得ない
 
1/13/1999

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