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27. 冬の訪れ

フィンランドの冬は寒いと覚悟を決めていたのですが,まだ今のところ覚悟を決めるほどの寒さには遭遇していません.どの建物の中もしっかり暖房されており,半袖で過ごすことさえ可能だからもしれません.とはいえ,日はどんどん短くなり,先日は午後3時30分には夕焼けを見てしまいました.

友人のお母さんが言った通り,11月2週めに雪が降りました.雨から徐々に雪などという半端なものではありませんでした.あっという間に銀世界とはこのことでしょうか?気温も氷点下に初めて下がりました.寒さに弱い私はあらかじめ冬用の靴(底に何か特別の細工をしてあるらしく,寒くないとのこと)を購入しており,しかもセータにダウンジャケットと,寒さ対策は万全のつもりでいました.しかし,11月に入っていきなり冬靴をはいてしまっている私を見て,家内は「そんなことだと,本格的な寒さがやってきたときにどうするの」と言います.その通りです.私はすでに自分の手持ちのカードを全て出してしまっているのですから.そのときは,また考えることにします.
 
 

 
11月5日.初めての本格的な雪.
この後,あっという間に銀世界になった.
 
通勤路にしている森.
既に数多くの足跡(人+犬) が見つかった.
 

さて,雪が降ると外に出るのがおっくうになってしまいがちですが,こちらの人は普段と変わらず,というかむしろ積極的に外へ出るように見えます.子供たちはそりを手にはしゃぎまわっています.私も若干雪がめずらしいので(生まれも育ちも雪が降らない温暖な地方でした),子供を連れて外で遊ぶことにしました.最初は雪だるまを作ろうとしたのですが,雪がさらさらで全く固まりません.友人いわく,そうした遊びはもっと暖かいときにするものだ,ということです.他に何をするのかさほどアイデアも無い私ですので,他の子供たちがしていることを観察してみると,いたって単純で,雪の上を走ったり,ころびまわったりと,夏に草の上でしていることと同じことを雪の上でしているようです.息子にやってみろと薦めてみると「雪は冷たいのでいやだ」と,なんとも情けない返事です.そんな息子でしたが,それでもフィンランド人の友人とはしゃいでいるうちに,雪にまみれて何となくフィンランド化していく様子が見られました.親としても一安心です.

驚いたことが一つ.気温はマイナス2度くらいだったと思うのですが,まだ生後一ヶ月くらいの子供もベビーカーの中に入ったままではありますが,外に連れられて出ていました.外の空気は新鮮だから,だそうです.そのまま放置しているかのようにさえ見えますが,泣き始めるとさすがにあやしにに戻ります.泣き止むと再び放置です.あのような育ち方をしているフィンランド人の子供ですから,息子の友人にもワイルドな子供が多いようです.息子にも,この冬を通して少しでもそのワイルドさを身につけてくれればと思うのですが,まずは父親からやってはどうか,といまにも言われそうです.
 
 

 
石をくり貫いて作ったキャンドルランタン
上でアロマをたくものらしい.フィンランド製
 
愛車もあっという間に真っ白.
出かけるまでに掃除をしなければならない.
 
 
 
いつものようにブランコは使える.
ただし,素手で鎖を持つとくっついてしまい危険.
 
ベビーカーの中には生後1ヶ月余りの子供がいる.
泣いたので父親があやしに来た.
 
 
11/8/1998

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